カリキュラム
1年次開講科目 *全て【必修科目】 |
【講義】 エネルギー物質概論[2] エネルギー物質物理学概論[2] エネルギー物質化学概論[2] |
【演習】 化学数学演習[1] 物理数学演習[1] |
【実験】 基礎物理学実験[1] 基礎化学実験[1] エネルギー物質化学実験[2] |
2年次開講科目 *全て【必修科目】 |
【講義】 次世代インフラエネルギー概論[2] 基礎エネルギー物理学[2] 基礎環境エネルギー科学[2] エネルギー物質化学1[2] エネルギー物質化学2[2] 量子化学[2] ライフデバイスエネルギー物理学[2] 基礎電子デバイス物理学[2] 基礎生体物理学[2] |
【演習・ゼミ】 数理解析演習[1] 基礎化学情報処理[1] 数理情報処理[1] エネルギー物質ゼミ1[1] エネルギー物質ゼミ2[1] |
【実験】 エネルギー物質物理学実験1[2] エネルギー物質物理学実験2[2] |
3年次開講科目 *領域によって、必修・選択必修は異なる |
【講義】 物質熱力学[2]量子線物理・工学[2] エネルギー発電・伝送工学[2] 原子エネルギー物理・工学[2] 水素エネルギー工学[2] 原子核物理学[2] インフラマテリアル工学[2] 高電圧プラズマ物理・工学[2] 放射化学[2] 【実験・実習】 インフォマティクス実習[1]エネルギー物質生物学実験[2] エネルギー工学演習[1] |
【講義】 機能材料化学[2]生体物質化学[2] 分子反応化学[2] 分子機能化学[2] 高分子材料工学[2] 計算生体物質化学[2] 光電子機能化学[2] 量子分子工学[2] 分子デバイス工学[2] 【ゼミ】 エネルギー物質ゼミ3[1]エネルギー物質ゼミ4[1] 卒業研究ゼミナール[1] |
【講義】 電子デバイス物理学[2]生物センサ概論[2] 生物メカニクス概論[2] 熱機関物理学[2] 光電変換デバイス工学[2] 生体情報工学[2] 生物デバイス工学[2] 生物メカニクス工学[2] エネルギー変換工学[2] 【演習(選択科目)】 機器分析化学演習[1]計測物理学演習[1] |
4年次開講科目 |
卒業研究[8]
【講義(選択科目)】 バイオエネルギー工学[1] |
- [ ]内の数字は単位数 カリキュラムは一部変更の可能性があります。
1年次
講義
エネルギー物質概論
エネルギーと物質は、さまざまな形で現代社会を支えている。それと同時に、持続可能な社会の構築のためには多くの課題を解決していく必要がある。本科目では、エネルギーと物質に関する現状解説と問題提起を行う。これによって、社会と多種多様なエネルギー関連技術の関わりに関心を向け、その後の学習意欲を高める。
(オムニバス方式/全15回)
(1)水素エネルギー工学
(2)熱エネルギー変換工学
(3)放射性物質に関する化学
(4)軽量・高強度高分子素材
(5)太陽電池素材に関する化学
(6)原子核物理学
(7)高電圧プラズマ技術
(8)エネルギー変換分子デバイス
(9)水素貯蔵に関わるマテリアル
(10)光電変換デバイスの原理
(11)電子移動の原理と応用
(12)生物デバイス工学
(13)メカノバイオロジー
(14)生体センシング技術
(15)物質機能のシミュレーション
エネルギー物質物理学概論
本科目では、現代社会を支えるさまざまなエネルギーと、それに関わる工学の基礎を学びます。これによって、その後のエネルギー工学に関わる科目を理解するための基礎を養うことができます。
(オムニバス方式/全15回)
(1-5回)再生可能エネルギー概論(再生可能エネルギーとは何か、バイオマスエネルギー、水素エネルギー、エネルギー変換と環境保全)
(6-10回)電気エネルギー工学(蓄電池のしくみ、発電や送電のしくみ)
(11-15回)基礎メカトロニクス工学(機械工学や電気電子工学におけるエネルギー利用)
エネルギー物質化学概論
本科目では、全ての物質を構成する原子とその結合、そして種々の物質の成り立ちと性質などエネルギー・物質科学を修得するうえで必要な化学の基礎について学びます。これによって、その後の物質化学に関わる科目を理解するための基礎を養います。
演習
化学数学演習
化学実験のレポートを作成する際に必要となる、確率、誤差、有効数字など、基本的な確率統計学的な知識を習得するための演習を行います。さらに、量子化学や化学熱力学などの物理化学系の科目で必要となる指数や対数を用いた演算、三角関数の利用方法、種々の方程式の微分や積分など、化学数学の基礎を習得するための演習を行います。
物理数学演習
物理系の実験科目における諸原理の理解や、実験データの解析に必要となる数学の習得を目的に、線形代数および微分積分の基礎を学びつつ、実践的な題材を用いた演習を行います。また、電気回路や量子力学などを学ぶ上で必要となる複素数の基礎を学び、その有用性を実感できるような題材を用いて演習を行います。
実験
基礎物理学実験
物理法則はさまざまなエネルギー利用や物質変換を理解するための基盤であり、理論の学習に加えて実験を通じた実践的体得が必要不可欠です。本実験科目では、力学・熱学・光学・電磁気学の理解を促すための題材に取り組み、各々における特徴的な物理量の測定を行うことにより、安全に実験を行うための方法を習得します。また、エネルギー問題を背景としたさまざまな題材、たとえば太陽光発電、風力発電、原子力(近大教育用原子炉を活用)に関する実験も実施します。以上の実験を通じて、物理学の基礎原理への理解を深めつつ、社会を支えるエネルギー全般への理解を促します。
基礎化学実験
エネルギーに関わる全ての分野において、物質の化学的性質を理解し、その理解に基づいて物質を適切に扱うことができる実践的能力が不可欠である。本実験科目では、まずは身近な題材を扱うことで化学実験の基本操作に慣れ、その背後にある化学の基礎を学ぶ。特に、金属錯体、化学電池、化学発光といった、エネルギー関連技術の基礎となる化学を学ぶ。また、薬品の安全な取り扱いや、実験廃棄物の処理方法について学ぶ。
エネルギー物質化学実験
本実験科目では、①金属カチオンを溶解度の違いを利用して分離する無機定性分析実験、②中和滴定やキレート滴定など物質の定量法を学ぶ定量分析実験、③有機定性分析や有機合成などの有機化学実験、を通じて化学物質のふるまいや取り扱い方を理解し、またさまざまな現象の背後にある原理を追求する姿勢を身に付けます。さらに、実験プロセス・結果・考察の口頭および論理的文章を用いた説明方法や、データ解析および報告書や説明資料を作成するうえで必要な情報リテラシーを修得します。
2年次
講義
次世代インフラエネルギー概論
本講義では、持続可能な社会の構築に不可欠な次世代のインフラエネルギー技術と、それをささえる材料に関する知識を習得します。
(オムニバス方式/全15回)
(1-5回)水力発電、火力発電、原子力・新エネ発電(太陽光、風力、燃料電池等)および変電や配電の基礎知識を学びます。
(6-10回)身近な電子デバイス、自動車、航空機、さらには発電炉を構成する材料について学びます。
(11-15回)エネルギー資源、日本の電力事情やエネルギー環境問題について学びます。
基礎エネルギー物理学
本講義では、エネルギー関連技術を学ぶうえで重要な物理学について学びます。特に原子核、原子および原子から発せられる量子線エネルギーに関する物理学、および電磁気学を学修します。
基礎環境エネルギー科学
放射線環境において安全に身を守るための生体科学を学修することは、社会と原子力エネルギーの関わりを理解するうえで重要である。本科目では、以下の内容を学修する。
(オムニバス方式/全15回)
(1-8回)放射線測定技術の基礎、放射性物質の気圏水圏地圏における環境挙動の基礎を学ぶ。
(9-15回)原子炉の基礎原理と構造や、放射線と物質との相互作用について学ぶ。放射線量と人体への影響を理解しつつ、量子線の医療応用についての知識を身につける。
エネルギー物質化学1
次世代エネルギー変換素子などを理解するためには、まずは物質を構成する原子や分子の構造や電子状態を理解する必要があります。本講義では、なぜ原子が集まって分子を形成し、それぞれの分子が異なる特性を示すのかを学びます。具体的には、化学反応を考える際の熱力学の概念、簡単な有機分子の立体化学や反応性、そして種々の化学結合や分子間相互作用について学びます。
エネルギー物質化学2
物質の構造・反応性、および物質を同定するための評価方法(=分析化学)など、エネルギー技術を支える新規素材開発を支える基礎知識を習得します。
具体的には、代表的な機器分析法(NMR、IR等)の原理と実例、様々な官能基を有する有機物の反応性、そして金属錯体や金属酸化物の電子状態を理解するのに重要な結晶場理論や配位子場理論について学びます。
量子化学
原子や分子などのミクロな世界は量子力学に支配されており、特に物質の性質や化学反応を原理的に理解するためには量子化学を習得する必要がある。本講義では電子の運動状態を表現するためのシュレーディンガーの波動方程式や水素原子の取り扱いなど量子化学の基礎を学んだのち、多電子原子の量子化学における取り扱い方法や分子軌道、混成軌道、反応性など量子化学の分子への応用を学ぶ。
ライフデバイスエネルギー物理学
様々な高機能デバイスの開発において、電気回路の基礎知識、機械的強度・耐久性、デバイス内における熱および物質移動の原理を理解・説明できることが重要である。本科目では、各種原理を理解するために、どのように物理学を用いるかを学ぶ。
(オムニバス方式/全15回)
(1-8回)材料力学、流体力学、熱力学、機械力学、および制御工学等の物理学の基本を学ぶ。
(8-15回)電流の流れかた、電流と電圧の関係といった物理学の基礎、ダイオードやトランジスタなどの半導体を用いた電気電子回路の基礎を学ぶ。
基礎電子デバイス物理学
電子工学の基礎を学び、応用技術の理解の土台となる固体物理学の知識を深めることを目的とします。前半では、多くの電子工学材料は固体デバイスであるため、固体の基礎物性と電気的特性・磁気的特性・光学特性に関する知識を習得します。後半では、電気計測の基礎として、物理量を計測するためのセンサの構造についての知識を習得し、計測データの信号処理手法について習得します。
基礎生体物理学
生体の活動はさまざまなエネルギー変換に支えられている。光エネルギーの獲得やナノサイズの生体モーターの駆動などは、その典型例である。また、これらのエネルギー変換や、生体分子の自己組織化等は熱力学によって支配されている。本講義では、さまざまな生体活動を題材に、それらを熱力学、電磁気学、力学と結びつけて学びながら物理学への理解を深める。
(オムニバス方式/全15回)
(1-5回)生体のエネルギー変換における熱力学について学ぶ。
(6-10回)生体の自己組織化における熱力学について学ぶ。
(11-15回)生体のエネルギー変換における電磁気学、力学について学ぶ。
演習・ゼミ
数理解析演習
エネルギー技術やマテリアル開発に関わる研究遂行においては特殊関数や複素関数などが必要になることから、それらの基礎を習得し、適切に応用する能力を習得するための演習を行います。さらに、実験により得られた数多くのデータを適切に取り扱うための数学的技法の習得を目的に、統計学とその活用法に関する演習を行います。
基礎化学情報処理
レポートや卒業論文などでは、分かりやすい図や表を効果的に利用することが重要です。本演習ではWord、 Excelなどを用いた資料や報告書の作成を目的とし、その効果的な使い方について実践的に学びます。化学構造式の描画に用いるChemDrawや、化学物質の設計のためのAI教育の一環としてPythonの基本的なプログラミングにも慣れ親しみます。
数理情報処理
基礎物質処理で学習したPythonの知識を深めるため、平均値の差の検定や回帰分析をはじめとした簡単な統計処理など、物理数学演習や数理解析演習で行った内容を行うことでその実際の使用例を学習します。また、数値解析に使用されているソフトウェアであるMATLABを用いても同様の演習を行い、その視覚的理解を目指します。
エネルギー物質ゼミ1
本科目は1年次の基礎ゼミ1・基礎ゼミ2に続く科目であり、これら科目と同様に少人数グループで活動します。それまでに学んだ内容を振り返り、その中からテーマを決め、調査・討論・PBL実験・プレゼンテーション・レポートの題材とします。その際、複数の教員からそれぞれの専門性に基づく知見の提供や異なる視点の提示を受け、議論を深めます。これによって、異なる意見を尊重し、柔軟に対応する能力を養います。また、各自の興味ある分野に意識を向け、今後の自身のキャリアデザインについて考える機会を設けています。
エネルギー物質ゼミ2
エネルギー物質ゼミ1に続き、ここまで学んだ内容を振り返り、その中から調査テーマを決め、少人数グループでの調査・討論・PBL実験等の活動を行う。また、効果的なプレゼンテーション方法、明瞭なレポートの作成方法についても学ぶ。エネルギー物質ゼミ1と同様、複数の教員からそれぞれの専門性に基づく知見の提供や異なる視点の提示を受ける。これによって、異なる意見を尊重し、柔軟に対応する能力を養う。また、各自の興味ある分野に意識を向け、今後の自身のキャリアデザインについて考える機会を設ける。
実験
エネルギー物質物理学実験1
本実験科目では、①材料の構造と物性評価法に関する物理学実験、②光電変換に関する物理学実験、③固体物理学に関する実験を行い、エネルギーの変換や制御、各種デバイスの開発等に必要な基礎力を養います。また、いくつかの実験では、近大共同利用センターの装置および近大教育用原子炉も活用し、電子・光子(X線)、イオンや中性子と物質との相互作用に関する実験を実施します。実験のレポート作成を通して、実験プロセス・結果・考察の口頭および論理的文章を用いた説明方法や、データ解析および報告書や説明資料を作成するうえで必要な情報リテラシーを修得することができます。
エネルギー物質物理学実験2
本実験科目では、①エンジンやモーターなどの動力源の基礎に関する実験、②回転や振動などへの動きの変換に関する実験、③流体の運動に関する実験、を行う。また、④電磁気学に含まれる基本的な電気回路や電子回路を構成要素の役割や組み合わせについて学び、回路設計、アセンブリ、さらにはそれらを用いた物理計測や制御の方法を実践的に学ぶ電磁気学実験などを行う。これらの実験を通じて、エネルギーを効率的に変換・活用するためのメカニズムの設計・開発に必要な基礎力を修得する。さらに、実験プロセス・結果・考察の口頭および論理的文章を用いた説明方法や、データ解析および報告書や説明資料を作成するうえで必要な情報リテラシーを修得する。
3年次
講義
物質熱力学
物質・材料の特性や、種々の物質の複合化を理解するうえで重要な熱力学について学ぶ。
(オムニバス方式/全15回)
(1-7回)物質の振る舞いを評価するために重要な熱力学のうち、化学平衡や相平衡といった"平衡"について学ぶ。
(8-15回)金属材料の組織学、すなわち"合金"の考え方、2元系、3元系合金状態図を学ぶ。また、いくつかの元素を混ぜ合わせることでできる合金および、鉄鋼材料の基礎と、その材料特性の向上について学修する。
量子線物理・工学
量子線(放射線)は医学利用だけでなく、様々な産業分野で利用されている。目に見えない量子線を適切に管理しながら安全に利用するためには、量子線の測定技術が不可欠である。本講義では、量子線の物理に関する基礎知識と、量子線の測定・利用技術の工学について学ぶ。
なお、本講義では放射線取扱主任者の出題科目のうち主に「物理」「実務」「法令」に相当する部分を扱う。
(オムニバス方式/全15回)
(1-7回)量子線の発生メカニズム、量子線と物質の相互作用に関する物理、測定の基本原理などを学ぶ。
(8-15回)様々な量子線利用技術並びに安全利用のための管理技術及び関係法令について学ぶ。
エネルギー発電・伝送工学
電気エネルギーの伝送に係わる電力システムでは主に交流である。本講義では、まず交流回路の基礎を学習する。習得した基礎をもとに、電力システムを構成する送配電線路、変電所等の構造・しくみを理解し、構成要素の電気特性を学習する。また、持続可能社会構築のための各種の新エネルギーについて詳しく学ぶ。
原子エネルギー物理・工学
本講義では、原子エネルギー工学では原子力発電技術に関する総括的な知識を身につける。
(オムニバス方式/全15回)
(1-5回)原子炉物理、原子炉工学を通して原子炉の基礎を学び、更に熱中性子炉や高速炉といった様々な炉型について、その特徴を理解する。原子炉を中性子と原子核の相互作用及び熱の観点から理解する。
(6-10回)フロントエンドである原子力発電所で利用を終えた核燃料の取り出し・保管から、再処理、再利用までの核燃料サイクルについて学修する。
(11-15回)再処理工程で発生した高レベル放射性廃棄物の処分(バックエンド)について正しい知識を身につける。
水素エネルギー工学
水素は、無限に存在する水が原料となり得ること、クリーンなエネルギーであることから、エネルギー利用技術として非常に注目を集めている。本科目では、特にエネルギー分野での水素について、その製造、貯蔵、輸送、および水素を用いて、熱、動力、電力を得る方法について学ぶ。この講義を通じて、水素エネルギーだけでなく、さまざまなエネルギー分野への知識と理解を深め、次世代を担うエネルギー研究者・技術者としての素養を育む。
原子核物理学
原子力エネルギーなどに代表されるように原子核に潜むエネルギーは莫大です。このエネルギー利用のため、原子核構造論および反応論を中心に基礎的な内容を理解し、巨視的模型と微視的模型を学びます。さらに原子力エネルギーの中心となるウラン領域や、超ウラン領域の原子核の性質についても学びます。
インフラマテリアル工学
マテリアル(物質・材料)がなければモノを作ることはできません。電気を生み出す発電炉を長寿命に、かつ安全に運転していくためには、その用途や環境に適したマテリアルが選ばれなければなりません。本講義では、マテリアルのもつ熱的性質(温度)、力学的性質(強度)、電気的性質(導電性)、化学的性質(酸化耐性、水素親和性)の理解を深め、多様性のあるエネルギー産業界において適材適所のマテリアル選択ができるようになります。
高電圧プラズマ物理・工学
高電圧プラズマ工学はエネルギーの送配電などの有効利用の点において重要な位置を占めている。高電圧および高磁場技術の発達とともに、材料の絶縁性能が重要となる。そのため、基礎的な放電機構およびプラズマの挙動を理解することは重要である。本講では気体の放電開始理論およびプラズマの挙動について学習する。
放射化学
第一種放射線取扱主任者試験の化学分野に対する対策を念頭に、アクチノイド等の放射性元素の性質や、それらを非密封で扱う際の分離法(沈殿、 抽出、 吸着等)および分析法(ICP-OES、 ICP-MS等)について学ぶ。また、放射性物質を取り扱う際に避けられない有機化合物と放射線との相互作用についても学ぶ。さらに、本分野の世界の現状についても積極的に学ぶ。
機能材料化学
我々の身の回りには有機材料から金属やその合金、セラミックスなどの無機材料で溢れている。エネルギー変換デバイスや蓄電デバイスにおいても様々な有機・無機材料が使われている。本講義では燃料電池やリチウムイオン電池などに用いられている材料を、有機と無機の両面から学ぶ。
(オムニバス方式/全15回)
(1-7回)エネルギー変換デバイスや蓄電デバイスを構成する有機材料について学び、それらの性質・機能を有機化学の基礎知識を用いて理解する。
(8-15回)固体の結晶構造や結晶中の格子欠陥、二元系金属の状態図など材料組成学の基礎を学んだのち、実際に我々の身の回りで使われている様々な無機化合物を例示し、その構造と電子状態、応用例などを学ぶ。
生体物質化学
生命はエネルギーを取り込み利用するために様々な物質の化学反応を巧みに利用している。本講義では我々の身の回りの有機材料に関連して、その結合や立体構造、電子状態などを理解したのち、天然の有機化合物、糖類、脂質、アミノ酸、タンパク質など生体物質の構造や役割などを学ぶ。
(オムニバス方式/全15回)
(1-7回)有機化合物を構成する結合、有機化合物の立体構造や電子状態を学ぶ。
(8-15回)生体の構造や機能を担う種々の有機物質について学ぶ。
分子反応化学
本講義では化学反応の基礎である統計熱力学と反応速度論の基礎を習得する。前半は熱力学の復習を行ったのち、分子運動論、熱平衡系の古典統計力学、熱平衡系の量子統計力学などの統計熱力学の基礎を学ぶ。後半は反応速度と速度式、反応速度の解析法、固体表面もしくは溶液中での反応に関して反応速度論における取り扱い法を学ぶ。
分子機能化学
本講義では分子性材料について光機能や電気化学特性など機能化学の基礎を習得します。前半は、光とはなにか、光を分子が吸収することで電子状態がどのように変わるか、分子の構造と色との関係など光化学の基礎を学びます。後半は電気化学の基礎と二次電池への応用例などを学びます。
高分子材料工学
高分子材料は、プラスチックや繊維といった素材として広く用いられており、金属やセラミックスなどの無機材料とともに現在の社会を支えています。本科目では、高分子材料の合成法や分子構造と諸特性の相関について学び、今後のエネルギー社会を支える高分子材料を開発するうえで必要不可欠な素養を習得します。
計算生体物質化学
蛋白質など生体高分子間の相互作用は生命活動の根幹をなし、この相互作用の破綻は疾患の発症などをもたらす。本講義では種々のインフォマティクスで用いられているツールやその利用例を紹介するとともに、生体分子との相互作用を阻害することでその作用を発揮する薬剤分子について、その相互作用の理解や分子設計について学ぶ。またこれらに用いられている計算化学的手法についても学ぶ。
光電子機能化学
有機太陽電池や有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子などの光電子デバイスを高効率化するためには、物質と光の相互作用を理解してデバイス構造を設計する必要があります。本講義ではまず分子軌道に関して理解を深めたうえで、ヤブロンスキー図を用いた物質の光吸収過程やエネルギー移動の理論について学びます。さらに固体の電子状態を理解するうえで重要なエネルギーバンドや電気伝導性について学んだのち、有機太陽電池や有機ELの動作機構を学びます。
量子分子工学
リチウムイオン二次電池はスマートフォンからノートパソコン、電気自動車までありとあらゆる場所で使われる蓄電デバイスである。しかし、今後我々が低炭素社会を実現するためには、更に大量の電気を貯蔵できる長寿命な蓄電デバイスの開発が不可欠である。本講義では現状の蓄電デバイスを理解するうえで重要な界面化学や電気化学を学んだのち、最新の蓄電デバイスの動作機構について学ぶ。
分子デバイス工学
我々の身の回りには様々な分子デバイスが溢れており、日進月歩で新しいデバイスが開発されている。本講義では、「分子のかたちと機能」に関する理解を深め、分子デバイス設計の基礎となっていることを学ぶ。さらに、最先端の分子デバイスが示す機械的・物理的・電気的・磁気的・光学的機能を学ぶとともに、これらの機能発現のしくみを分子レベルで解説する能力を修得する。
電子デバイス物理学
本講義では、エレクトロニクスデバイスの要である半導体材料の物性物理学、およびその応用についての理解を深めることを目的とします。半導体を用いたエネルギー変換技術に必要な構造や電磁気学を学んだうえで、トランジスタ、発光デバイス、受光デバイス、熱電変換デバイスの動作原理を修得します。
生物センサ概論
生体に関わるセンシングは、人間の日常に関わるメカトロニクス・ロボティクスといったマクロな分野から、生体内における分子認識といったミクロな分野まで、極めて多岐にわたります。本講義では、それら多岐にわたるセンシング技術について概要を学び、センサの開発や応用を考える際の基盤となる知識を習得します。
生物メカニクス概論
これまでにない仕組みに基づく新たなライフデバイスを開発するためには、生物がどのようにエネルギーを取得・変換・利用しているかを知ることが必要不可欠である。微生物の運動、筋組織の運動など、生体内のさまざまな機械的・電気的・化学的な事象について学び、理解することを目的とする。
熱機関物理学
現在のエネルギー供給の主流は熱機関による熱エネルギーの動力変換である。また、同技術の改善による変換効率の向上は、エネルギー問題への対策として重要である。本科目では、実用熱機関の構造・機構の紹介とともに、改善の歴史、熱物理工学理論と実機との作動の差異、改善策の考え方を学ぶ。
光電変換デバイス工学
再生可能エネルギー源として太陽光は極めて重要です。光電変換技術は、太陽光を有効活用するための技術です。本講義では、光電変換についての理解を深めることを目的とします。太陽光の特性、光と物質の相互作用、光電変換の原理、エネルギー変換効率の限界、光電変換デバイス技術などについて修得します。
生体情報工学
人が現実世界から受けている様々な物理刺激(光、音、力、匂い、味など)をどのように受容し、知覚しているかについて理解することを目的とします。人の感覚受容器の特性やその情報を脳でどのように処理しているかという知覚特性について学び、現実のセンサと比較することで人の情報処理機能について学びます。
生物デバイス工学
生体デバイス(バイオエレクトロニクスデバイス)は、無機半導体を中心としたエレクトロニクスデバイスで培われたナノテクノロジーをバイオ・医療分野と融合することによって、生体が発する情報をセンシングする、または生体の働きを制御するといった機能をもつデバイスである。本講義では、生体デバイスについての知識およびその製造プロセスについて学習する。
生物メカニクス工学
生物を構成する細胞は、外部の環境や外部から与えられる刺激に応じてさまざまな挙動を示す。また、それらの細胞の挙動は、細胞組織の機能を司っている。これらを扱う学問はメカノバイオロジーと呼ばれる。この講義では、筋組織や神経系など、将来のエネルギーデバイスの設計につながる生体組織を実例としてメカノバイオロジーを学ぶ。
エネルギー変換工学
この講義では主に燃料の燃焼による化学エネルギーから熱エネルギーへの変換の理論と実用技術を解説する。さらに、エネルギー変換システムの評価に有用なエクセルギーの概念について解説し、コンバインドサイクルやコジェネレーションなどの各種エネルギーシステムの評価と最適化の手法について学習する。
実験・実習
インフォマティクス実習
現在でも科学技術計算に広く用いられているプログラミング言語であるFortranを用いたシミュレーションプログラムを作成することにより、これまで学んだ数学的知識をプログラムとして具現化し動かす。また、今後必要となるAI系の知識の習得およびそのプログラムとしての実践を行うため、Pythonを用いた機械学習や画像認識を行う。これらの習得により、研究室配属後にも利用可能なプログラミング能力の習得を目指す。
(オムニバス方式/全15回)
(1-5回)
Fortranを用いたシミュレーションプログラム作成の実習を行う。
(6-10回)
Pythonを用いた機械学習に関する実習を行う。
(11-15回)
Pythonを用いた画像認識に関する実習を行う。
エネルギー物質生物学実験
本実験科目では、①細胞生物学実験、②生体関連有機物質の機能、合成、分離分析、③DNAに関する分子生物学実験などを行います。これらの実験を通じて、生命現象の観察と理解、生体関連物質の構造と機能の相関、最新の生物学実験技術を身につけ、ライフデバイスの開発に必要な基礎力を身につけます。
エネルギー工学演習
次世代インフラエネルギー領域の専門科目を受講するうえで、その内容の円滑な習得を支援する演習を行います。
(オムニバス方式/全15回)
(1-7回)
原子力発電所の燃料サイクル、廃棄物処理技術・事故後処理・廃炉処理、革新的次世代原子炉技術の現状と将来展望、および原子核物理の新元素発見にまつわる研究最前線を学びます。
(8-15回)次世代エネルギー源としての水素エネルギーの利用技術、高エネルギープラズマの医療・工学応用技術について学びます。
ゼミ
エネルギー物質ゼミ3
各教員から、それぞれの現在の研究内容、関連分野の歴史および進展、さらに社会との関わりや将来展望についての説明を受け、エネルギーと物質に関わる研究の最前線について学びます。同時に、その分野に関わる科学技術英語に触れ、少人数で意見交換しながら基礎的な英作文に取り組む機会を設けます。これによって専門科目への取り組みのモチベーションを各自向上させるとともに、自身のキャリアデザインへの意識を高めます。
エネルギー物質ゼミ4
本科目では、研究室仮配属期間の間、担当教員による指導のもと、研究背景や研究意義について学びます。文献情報を適切に収集し、提案された研究テーマに関して国内外の動向に関する調査を行い、その研究テーマの位置づけや社会への波及効果について理解を深めます。英語文献にも積極的に触れ、科学技術英語の読解力を養います。また、データの取り扱いや表現方法に関する科学技術者倫理を学びます。これらを通じて、卒業研究を滞りなく開始し、円滑に進めていくための準備を行います。
卒業研究ゼミナール
本科目では、研究室仮配属期間の間、担当教員による指導のもと、各研究室での実績ある研究例の中から題材を選び、卒業研究さながらに活動を行う。卒業研究における研究遂行のために必要になる実験技術とその原理、測定・分析機器の原理と使用方法、データ解析の方法などを実践的に学ぶ。これによって、卒業研究の円滑な遂行を可能にするための準備を行う。
演習(選択科目)
機器分析化学演習
マテリアル創製領域の専門科目を受講するうえで、その内容の円滑な習得を支援するのに必要な機器分析化学の演習を行います。具体的には、核磁気共鳴法(NMR)、赤外分光法(IR)、紫外可視分光法(UV-Vis)、質量分析法(MS)などの原理とスペクトルの解析に関する演習を行い、有機分子の構造決定法に関する基礎知識を習得し、未知の有機化合物の構造を決定できる能力を身につけます。
計測物理学演習
物理学と生物学を基盤としたライフデバイスエネルギー領域の専門科目を受講するうえで、その内容の円滑な習得を支援する演習を行います。(オムニバス方式/全15回)
(1-7回)バイオメカニクスおよび機械制御、計測装置の実装に必要な機械的作動・強度や、熱・物質移動に関する基本的な評価方法に関して演習を行います。
(8-15回)これまでに修得した数学や物理の知識をエレクトロニクスデバイスの設計・作製・計測・制御に応用する方法に関して演習を行います。
4年次
卒業研究
各自が指導教員から与えられたテーマについて、これまで修得してきた専門知識と実験技術を活用しながら、課題達成にむけて能動的・継続的に研究に取り組む。研究計画や研究手法、得られた結果とそれに基づく考察について文章および口頭で説明する機会を定期的に設け、教員との議論を通じて論理的な文章作成能力と口頭での説明能力を身に付ける。また、収集したデータの解析や明瞭な図表の作成といった情報処理技術についても各種レポートやプレゼンテーション資料の作成を通じて継続的な向上を図る。最終的に、卒業研究発表会にてプレゼンテーションを行うとともに、卒業論文を作成する。
講義(選択科目)
バイオエネルギー工学
地球環境を取り巻く現状は、気候変動枠組条約締結国会議(COP)等の議論に見られるように厳しさを増しつつある。特に、エネルギー源の枯渇や地球汚染問題は、深刻化している。本講義では、熱力学の基礎を学習し、エネルギーを巡る諸問題、化石燃料を主体とする環境汚染問題の概要を述べた後、再生かつ持続可能な新エネルギー、なかでもバイオマスを一次エネルギーとするバイオエネルギーに関する基礎からバイオマス発電、バイオコークス等の最新エネルギー技術とそのシステムについて学習する。一方、エネルギー変換がもたらしている各種の環境汚染物質、そのメカニズムと排出抑制技術についても学習する。